2008年05月12日

演出者より その1

『山吹』は、その地味なタイトルとは裏腹に、鏡花流シュールレアリスムの極致とでもいうべき戯曲で、『紅玉』とともに、上演には不向きだ、いや不可能だとさえ囁かれている。『夜叉ヶ池』、『天守物語』といった戯曲のもつエンターテイメント性とは、少し遠いところにある。官能と無残の美に彩られた煩悩があでやかに咲き乱れるなか、異様なエロティシズムを通して浮かびあがってくる〈世界〉の真相。緻密な構成ながら早急な展開で唖然とさせられるこの戯曲を、時代を超えた普遍的な〈世界〉の箱庭的抽象化と読みたい。そこに立ち上がる鏡花氏の思想を立体化するにあたって、戯曲の改変は一切行わない。それは、私たちに課せられた暗黙の約束事であり、先達へのリスペクトゆえである。少しでも、より豊かな舞台作品として世に問いたい。そう願い格闘するのみだ。


…遊劇体♯46「山吹」チラシより…


2002年12月上演 遊劇体♯36 泉鏡花「紅玉」より

kougyoku12.JPG

kougyoku52.JPG


posted by 遊劇体ニュース at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ♯46「山吹」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック